英国は、外国による偽情報と、人工知能(AI)が欺瞞的な情報を増幅する能力の高まりに対抗するため、国家情報防衛センターを設置する計画だ。アンディ・バーナム首相は国連総会の期間中にこの構想を発表し、情報環境に対する敵対的な操作は英国とその同盟国への脅威だと述べた。

センターは、国民が信頼できる情報とプロパガンダを見分けられるよう支援し、政府の枠を超えた対応を調整することを目的とする。ウェス・ストリーティング国防相はBBC Radio 4に対し、市民社会全体から信頼される発信者を結集すると語った。提示された発表では、政府はセンターの予算、責任者、開設日を含む運営上の詳細をまだ明らかにしていない。

バーナム氏は、新組織が必要だとする政府の説明でロシアを中心的に取り上げた。同氏は、ロシアの機関が複数の経路を使って虚偽情報を広め、人々の不安につけ込み、社会的緊張を深めかねない言説を推し進めていると非難した。また、ロシア政府が英国の2019年総選挙への干渉を試みたとの主張を繰り返した。ロシアには以前から、2016年の欧州連合(EU)加盟を巡る国民投票の前後を含め、英国政治への干渉の疑惑が向けられていた。

今回の発表は、情報の安全保障とAIの急速な進歩も結び付けている。説得力のある文章、画像、音声、動画を低コストで生成できるシステムは、影響工作の速度と量を増大させ、本物と捏造された情報を見分けにくくする可能性がある。バーナム氏は、欧州諸国が今後の選挙を迎えるなかで、偽情報、サイバー攻撃、AIが組み合わさることで、この課題は一層深刻になると警告した。

英国の提案は、個別の虚偽の主張を特定するだけにとどまらない。市民社会の参加を重視する方針は、情報環境全体の耐性を高めようとする取り組みを示唆する。ただし、情報源は政府が参加組織をどう選ぶのか、政治的圧力からセンターをどう守るのかを明らかにしていない。公の議論や民主的な説明責任に関わる分野で活動する組織にとって、こうした実施面の課題は重要になる。

バーナム氏は国連で、英国がAIの国際基準づくりを主導するとも述べた。また、重要インフラへのサイバー攻撃の検知を目指す、米国との別のAI防衛パートナーシップを発表した。これらの構想は、情報操作、人工知能、サイバーセキュリティを、相互に関係する国家安全保障上の懸念として位置付けている。

センターの有効性は最終的に、与えられる権限と資源、手法の透明性、国民の信頼を築く能力に左右される。当面、今回の発表が示すのは政府の意向だ。すなわち、外国の影響工作への抵抗を調整する専門機関を設けるとともに、AIによってそうした工作がより迅速で検知しにくくなる事態に備えるということである。