地震のパニックで刑務所の秩序崩壊、カラチで受刑者200人超が脱走

発生日:2025年6月3日

BBCが引用した警察および刑務所当局者によると、2025年6月3日未明、地震の揺れによって刑務所内がパニックに陥り、カラチのマリール刑務所から200人を超える受刑者が脱走した。当局は、混乱の中で216人が脱走し、対応中に受刑者1人が死亡、刑務官2人が負傷したと発表した。

一連の出来事は、揺れで施設の壁が震え、受刑者が建物の崩壊を恐れたことから始まった。刑務所長はBBCに対し、午前0時ごろから受刑者が独房や収容棟で叫び始めたと話した。数千人の受刑者が扉を壊し、鍵をこじ開け、窓を割ったことで、パニックは急速にエスカレートした。その後、多くは独房に戻ったものの、数百人が正門へ押し寄せ、216人が混乱に乗じて逃走した。

警察によると、報道時点までに脱走者80人を再び拘束しており、残る130人余りの捜索が続いていた。警察官は、なお逃走中の受刑者を追跡するため、一軒一軒を訪ね、受刑者の以前の住所を確認していた。大規模な捜索は、脱走者の人数だけでなく、計画的な反乱による襲撃ではなく自然の衝撃が引き起こした突破の後、秩序を回復することの難しさも反映していた。

刑務所そのものも、地震以前から深刻な負荷の下で運営されていたとみられる。カラチのマリール地区にあるマリール刑務所は、シンド州で2番目に大きい刑務所で、約2,200人の収容能力がある。BBCによると、少なくとも5,000人の受刑者が収容されていた。この水準の過密状態は、揺れによる恐怖がなぜこれほど急速に混乱へ転じたのかを理解する一助となる。

当局者は、脱走が単なる警備上の不備だったとの見方に反論した。刑務所長はBBCに対し、脱走は通常の職務怠慢ではなく自然災害によって起きたもので、事件を通じて警備チームは厳戒態勢を維持していたと述べた。それでも、シンド州のアリ・ハッサン・ザルダリ刑務所相は調査を命じ、過失が認められた職員は処分を受けると警告した。

刑務所の外では、受刑者の家族も事件後の状況に巻き込まれた。面会が延期されると、親族らが刑務所に集まり、抗議した。当局が脱走者の捜索、刑務所内の統制回復、市民への安心の提供を同時に進めようとする中、その不満は、すでに不安定な状況にさらなる要素を加えた。

マリール刑務所からの脱走は、とりわけ過密状態ですでに圧力を受けている矯正制度が、災害時の状況によっていかに急速に対応能力を超え得るかを示した。地震への恐怖として始まった事態は、近年のパキスタンで報告されたものとしては最大規模の脱獄事件の一つとなり、揺れが収まった後も、警察には長期にわたる収拾作業が残された。