OTAPEという新しいオープン形式が、音楽用カセットの物理的な仕組みをデジタルファイルの中に残そうとしている。バージョン1.0のリリース候補仕様は、ミックステープを通常のプレイリストとして扱うのではなく、固定長の2つの面、連続した録音、録音保護用の爪、ラベル、印刷物を想定したアートワークを備える自己完結型のアーカイブを定義している。

.otapeファイルは、決められた構成を持つZIPアーカイブだ。識別のためのmimetypeエントリーが先頭に置かれ、その後にJSONマニフェスト、録音済みの各面につき一つの音声ファイル、任意のアートワークや文書が続く。AAC音声やPNG・JPEG画像などの標準的な要素を使用しているため、既存のツールで内容を確認できる。オフラインで動作するように設計されており、元の音楽ファイルへのリンクは保持しない。

この仕様は、カセットの制約を意図的に残している。作成者はA面とB面に分ける合計の長さを選び、各面は一つの連続した録音として保存される。音声を分割せずに、トラックマーカーで曲を示すこともできる。無音部分、語りによる曲紹介、その他のつなぎも録音の一部として残る。一方、再生位置は別に管理されるため、聴くことでアーカイブが変更されることはない。面の別の箇所へ移動する操作は、瞬時の曲選択ではなく、テープの巻き送りとして位置づけられている。

視覚素材には、定められた物理的寸法がある。アーカイブには、カセット本体やラベルのデザイン、Jカードの表面・背・折り返し部分、ブックレット、ライナーノーツ、献辞を含められる。プレーヤーは、提供された画像の代わりに、外観を記述した小さなデータからカセット本体を描画することもできる。寸法とアスペクト比の許容差を定めることで、制作ツールやプレーヤーの間でアートワークを持ち運べるようにする狙いがある。

録音保護用の爪も、なじみ深い動作を再現する。爪を折ると、完成した面は誤って録音し直さないよう保護された状態になる。ただし、これはデジタル著作権管理ではなく、実物のカセットの穴をふさぐのと同様に、元に戻せる仕組みだ。カセット名は従来の「C+数字」という表記に従い、合計再生時間を表す。

プロジェクトは、任意の.otsound機器プリセットも定義している。速度の百分率、デシベル、ヘルツといった実際の単位で再生特性を記述し、元の録音を変えずにプレーヤーが異なるデッキを再現できるようにするものだ。聴き手は再生中に模擬する機器を切り替えられ、その間も.otapeファイルは変更されない。

ブラウザー上で動く参照実装のデッキは、通常のJavaScriptでこの形式を実演し、ドロップされたファイルをアップロードせずにローカルで処理する。プロジェクトは、oTAPEは新しい音声コーデックでも、単なる別の音楽プレーヤーでもないと強調している。その目的は、テープの編集・制作を形づくってきた間の取り方、パッケージ、制約まで含め、カセット全体を一つの受け渡し可能な物として記述することにある。このリリース候補をソフトウェア開発者が採用するかどうかが、意図的に制約を設けたこのモデルが実演用プレーヤーの外でも相互運用できるようになるかを左右する。