9月29日に掲載されたシアトル・タイムズの論説が、ワシントン州の議員に対し、人工知能(AI)のリスクに対応する3本柱の対策を採用するよう求めた。企業の法的責任の明確化、消費者による個人データの管理権限の強化、大規模言語モデルの学習に使う素材のライセンス取得の義務化だ。これらは筆者が支持する提案であり、成立済みの政策ではない。

論説の中心的な主張は、当面のAIによる被害を、機械の意識ではなく人間の責任の問題として捉えるべきだというものだ。モデルをどのように学習させ、安全を確保し、現実世界に影響を及ぼすシステムへ接続するかは開発者や企業が決めるため、不十分な管理が損害を引き起こした場合には責任を負うべきだと論じている。筆者はその義務を、製造業者が物理的な製品について合理的な安全性を確保すべきだという、従来からの考え方になぞらえている。

第1の提案は、モデルの開発者と、そのモデルを導入する組織の双方について法的責任を明確にすることだ。論説は、危険な製品や欠陥製品を対象とする現行法が出発点になるとしつつ、サービスとして販売される大規模言語モデルを、議員はより明示的に扱うべきだと述べている。十分な安全措置なしに、信頼性の低いシステムを重大な結果を伴う業務に接続する経営幹部には、その責任を問うべきだと主張する。これは筆者による政策提言であり、本記事は、現在のワシントン州法が提案された基準をすでに課していると確認するものではない。

第2の提言は、2021年にワシントン州議会へ下院法案1433号として初めて提出されたPeople’s Privacy Act(ピープルズ・プライバシー法案)の成立だ。論説の説明によれば、この法案は、AIの学習を含む個人データの利用について、明確なオプトイン方式の同意を義務づける。また、本人に関して作成されたプロファイルを閲覧し、不正確な情報を訂正したり異議を申し立てたりできるようにする。筆者は、こうした管理権限を、自動化された価格設定や賃金決定、操作的な働きかけへの懸念と結びつけている。

第3に、論説はワシントン州に対し、大規模言語モデルの学習に使うコンテンツのライセンス取得を義務づけるよう求めている。米上院議員ジョシュ・ホーリーとリチャード・ブルーメンソールに関連する全米規模の提案をモデルとして挙げ、クリエイターや著作者への報酬に関するルールの整備を、州が連邦政府の対応待ちにすべきではないと主張している。

この論説は、ワシントン州全体のAIタスクフォースが活動を終えた後に発表された。論説によると、タスクフォースの委員は子ども、学生、労働者、消費者に関する対象を絞った案を打ち出したが、筆者は、より広範で基盤となる立法がなお必要だと考えている。大手テクノロジー企業が州内に本拠を置くことから、ワシントン州の役割はとりわけ重要だと位置づけている。

これらの提案には、モデルのサプライチェーン全体で責任をどう分担するか、学習データのどのような利用にライセンスを必要とするか、州の要件と連邦法がどう関係するかなど、論説では解決されていない難しい問題が伴う。当面の意義は、次の議会会期を前に公の議論へ一石を投じた点にあり、採用済みの政府計画を報じるものではなく、規制に向けた課題を示したものだ。