Carbonは製造業向けソフトウェアのセルフホスト版を発表し、生産記録をベンダー運営のクラウドに置く以外の選択肢を工場に提供する。9月24日に公開されたこの製品は、顧客が管理するPostgresデータベースを中心に、企業資源計画(ERP)、資材所要量計画(MRP)、製造実行管理(MES)、品質管理を統合する。
同社は、機密性の高い記録をオンプレミスやプライベートクラウド、外部から切り離したエアギャップ環境に保管するメーカー向けに、この導入形態を位置付けている。Carbonによると、同じ中核コードがマネージドサービスとセルフホスト環境の両方で使われる。Community版はAGPL-3.0ライセンスで公開される一方、エンタープライズ向けモジュールとエアギャップ環境向けライセンスは商用製品となる。
導入を検討する企業にとって、この区分は重要だ。コミュニティ向けパッケージでは、中核となるERP、MRP、MES、品質管理システム(QMS)の機能を利用でき、セルフホストが認められる。Carbonは、エンタープライズ機能、AGPLの共有要件に従わずに非公開で行う改変、または制限されたネットワークでの運用を希望する顧客には、商用契約が必要だとしている。REST APIと組み込みのModel Context Protocolサーバーも、セルフホスト環境では有料のビジネス向け機能と説明されている。
製品はTypeScriptのモノレポとして構築され、正式な記録を保管する基盤にPostgresを使う。Carbonは、シリアル番号ごとの製造履歴や構成関係の追跡、材料証明書、測定、逸脱、是正措置、校正、デジタル作業指示、バーコード追跡、生産スケジュール管理に対応すると説明している。複数法人の会計管理と拠点間移管の機能は、大規模な企業グループが法人ごとに通貨、勘定科目体系、税設定を分けたまま、単一のデータベースを利用できるようにすることを目指している。
規制の対象となる航空宇宙・防衛分野の利用者にとっては、製造データを既存のセキュリティ境界の内側に保てることが最大の魅力となる可能性がある。Carbonによると、顧客自身のクラウドを利用するエンタープライズサービスでは、システムセキュリティ計画や是正措置の記録など、CMMCやNIST 800-171の評価に用いる文書を提供できるという。これらはベンダー側の説明であり、各組織はなお、自らに課される義務に照らして設計や適合性を示す証拠を評価する必要がある。
Carbonによると、単一のDockerホストから複数リージョンにまたがる環境まで導入できる。エアギャップ構成では外部への通信なしで動作するよう設計されており、通常のプライベートクラウド環境では外部システムとの連携を維持できる。今回の公開は、最新の業務ソフトウェアを求めながら、生産履歴や検査結果、管理対象の技術情報を自ら管理する基盤の外に出せないメーカーの選択肢を広げる。セルフホストでは、運用責任も購入側に移る。チームはSaaS事業者に任せるのではなく、データベースのバックアップ、アップグレード、ID管理、監視、復旧を計画しなければならない。ソースコードが公開されていれば内容を調べることは可能になるが、それだけで導入環境の安全性や規制適合性が確立されるわけではない。購入側は、Carbonを実際に動かす環境でこれらの管理策を検証する必要がある。



