スレート・オートは、米国の購入者向けにこれまで提案された中でも特に装備をそぎ落とした電気自動車の一つを発表した。連邦政府の優遇措置適用後の開始価格を2万ドル未満に抑えて生産入りすることを目指す、小型ピックアップだ。The Vergeによると、このトラックは意図的に簡素化されている。定員は2人、色は1色で、ステレオもタッチスクリーンもなく、航続距離は約150マイルにすぎない。そのミニマリズムは偶然ではない。それこそが製品のアイデンティティー全体を成している。
同社の売り込みは、相互に結び付いた二つの考え方に基づいている。第一に、新車価格が依然として高く、EV優遇措置をめぐる政策環境が不透明な時期に、手頃な価格の電動ピックアップを販売したいと考えている。第二に、事業そのものを拡大しやすくするため、製造を徹底的に簡素化しようとしている。The Vergeによると、スレートはこのトラックを米国内で生産し、サプライチェーンも主に国内に置く予定で、多くの自動車スタートアップを苦しめてきたような複雑さを避けるよう車両を設計している。
その簡素化は設計のあらゆる部分に表れている。車体パネルはプレス加工された鋼やアルミニウムではなく、ポリプロピレン複合材で成形されており、スレートによれば、これにより塗装工場とプレス工程の両方が不要になる。このトラックはグレーのみで販売され、同社はビニールラッピングや追加キットを重視することで、顧客が購入後に車両を自分好みにできるようにしている。実質的にスレートは、実用本位のベース製品を購入者に受け入れてもらい、カスタマイズを工場オプションではなく後の段階として扱うよう求めている。
製造面の主張は、トラックそのものと同じくらい重要かもしれない。自動車の塗装は高額で、環境規制の対象となり、運用も複雑だ。塗装工程をなくすことで、スレートは大きな資本負担を軽減する。The Vergeは、同社の手法が投資家の注目を集めており、ジェフ・ベゾスもその一人だとの報道があると指摘している。また、製造工程では従来型の自動車工場で一般的な大規模プレス設備を使わないため、この車両は比較的コンパクトな敷地の工場で組み立てられることも想定されている。
商業上の賭けは明白だ。これほど簡素なトラックは、高価でソフトウェアを多用した車に不満を持つ購入者に訴求する可能性がある一方、大衆市場には質素すぎると映る恐れもある。The Vergeの報道によると、スレートが目指しているのは単なる格安移動手段よりも幅広いもの、すなわちDIYによるカスタマイズ、低い間接費、異例の厳格な製造管理を中心とする新カテゴリーだ。それが成功すれば、このトラックは単なる新製品の投入にとどまらず、EVの低価格化はバッテリー化学と同じくらい製造工程に左右される、という主張にもなるだろう。
資料一式の根拠から導ける結論は明快だ。スレートは機能面で従来型ピックアップと競おうとしているのではない。基準そのものを再定義しようとしている。



